貴重書展示 重商主義をめぐって On Mercantilism 

 滋賀大学附属図書館の貴重書展示コーナーの展示替えを行いました。2024年春の展示は、「重商主義をめぐって」というテーマで、チャイルド、ボワギルベールの著作の展示を行っています。

The Rare Book Exhibit Corner at Shiga University Library has been rearranged, and the spring 2024 exhibit is themed “On Mercantilism,” featuring the works of Child and Boisguilbert.

展示の様子はこちらです。以下が私の解説文の抜粋です。

 展示ケースでは、アダム・スミス『国富論』の展示も行っています。重商主義を批判している章が開いてありますので、学生の皆さんはぜひ自分の目で確認してください。6月にはギャラリートークも予定しています。皆さんの参加をお待ちしています。

ローザンヌ大学への出張 Travel to the University of Lausanne 

 2024年2月28日から3月3日までの予定で、ローザンヌ大学のワルラス=パレート研究所に滞在しています。今回の出張の目的は、自著Léon Walras’s Economic Thought: The General Equilibrium Theory in Historical Perspectiveについての講演、ワルラス文庫の調査、共同研究の打ち合わせです。

 私の講演には、研究所の若いスタッフや院生の皆さんがたくさん参加してくれて、活発な議論ができました。さらには名誉教授であるPascal Bridel教授も参加してくださり、大変光栄でした。この本は、Bridel教授の著書から大きな影響を受けて、執筆したからです。当日私の討論者を務めてくれたのは、長年の研究仲間であるRoberto Baranzini教授と、新進気鋭の研究者Luca Timponelli氏でした。私の著書を非常に丁寧に読んでいただき、その意義だけでなく問題点まで的確に指摘していただきました。やはりここは世界最高レベルのワルラス研究が行われている所だと改めて思いました。

ローザンヌ大学の現在のキャンパスは、郊外にあり豊かな自然と美しいレマン湖の風景に包まれていますが、旧市街にある元ローザンヌ・アカデミーの校舎にも行ってみました。ワルラスやパレートが教鞭をとった建物で、ワルラスをローザンヌ学派の創立者として讃えるブロンズのメダル(1909)が飾られています。実はここは現在、中学校の校舎になっているので、メダルは平日しか見ることができません。しかも特に案内版があるわけでもなく、場所はわかりにくいです。

この近くにあるリュミーヌ宮で、1909年にワルラス経済学者生活50周年記念祭が開催されました。シュンペーターも招かれて、二人は初めて会いましたが、シュンペーターがあまりに若いのでワルラスは「あなたのお父さんの本を読みましたよ」と言ったそうです。リュミーヌ宮は現在、州の博物館の建物が入っていて、一般の観光客も内部を見ることができます。

今回のローザンヌ訪問は、パンデミックが収束してから初めての訪問で、実に4年半ぶりです。研究活動が正常化したことを、とても嬉しく思います。

科研費獲得しました Research grant approved

申請していた科研費が採択されました。

基盤研究(C)一般:「経済学史から見たアントレプレナーシップ:ワルラスからシュンペーター、カーズナーへ」

2024年度より4年間の研究プロジェクトです。引き続き頑張って取り組みたいと思います。

I am delighted to announce that my KAKENHI research grant has been approved for a compelling four-year project commencing in 2024. The project, titled “Entrepreneurship from the Perspective of the History of Economics: From Walras to Schumpeter and Kirzner”, and I am eager to embark on this endeavor.

本日刊行 Léon Walras’s Economic Thought

私の著書Léon Walras’s Economic Thought: The General Equilibrium Theory in Historical Perspective(『レオン・ワルラスの経済思想 歴史的観点からの一般均衡理論』が、本日、Routledge社(London&New York)から刊行されました。出版社のページはこちらです。Amazonからも注文できます。私の研究室にも現物が届きました。多くの方に読んでいただけることを願っています。

My book, Léon Walras’s Economic Thought: The General Equilibrium Theory in Historical Perspective, was published today by Routledge (London & New York). You can find the publisher’s page here. It is also available for ordering on Amazon. The copies of the book arrived in my office. I hope that many people will read it.

(追記)2023年12月7日 滋賀大学のHPで紹介されました。「経済学部 御崎加代子教授の研究成果をまとめた書籍がイギリスの大手出版社Routledgeから公刊」