今年も滋賀大学附属図書館貴重書展示コーナーで、ギャラリートークを開催することになりました。図書館の案内ページはこちらです。滋賀大が所蔵している、コンドルセ夫人訳・フランス語版・アダム・スミス『道徳感情論』(1798年)解説をします。今回から学外者も参加可能となりました。皆様のお越しをお待ちしています。


今年も滋賀大学附属図書館貴重書展示コーナーで、ギャラリートークを開催することになりました。図書館の案内ページはこちらです。滋賀大が所蔵している、コンドルセ夫人訳・フランス語版・アダム・スミス『道徳感情論』(1798年)解説をします。今回から学外者も参加可能となりました。皆様のお越しをお待ちしています。
滋賀大学経済経営研究所からDiscussion Paper(英文)を発行しました。論文のファイルは、以下からダウンロード可能です
No.E-19 Date:2022.11 Title:Walras’s Critique of Jean Baptiste Say :Entrepreneur and Laissez-Faire Author:Kayoko MISAKI
ワルラスの一般均衡理論がセーの経済学、特に企業者理論から大きな影響を受けていることはよく知られていますが、ワルラスがセーとその後継者たちの自由放任主義を厳しく批判し、自分が自由放任主義者と誤解されることを恐れていたことはあまり知られていません。本論文の目的は、セーの影響下で、自らの企業者理論と一般均衡理論を構築したワルラスが、その理論をもって、どのように自由放任主義を批判したかを示すことです。
このペーパーの内容を、これからさらに発展させ、来年、国際学会で報告する予定です。また最終稿は、2024年にRoutledgeから発行される予定の私の単行本 Léon Walras’s Economic Thought : The General Equilibrium Theory in Historical Perspectiveの第2章になる予定です。
皆様からのコメントを歓迎します。
(追記)2023年5月21日 経済学史学会第87回全国大会 (専修大学)にてこの論文を発表しました。(「ワルラスのセー批判:企業者と自由放任」)。当日のセッションに参加してくださった皆様どうもありがとうございました。
滋賀大学附属図書館の貴重書展示コーナーの展示替えを行いました。2022年秋の展示は、滋賀大学が所蔵するレオン・ワルラスの(Léon Walras, 1834-1910)の自筆書簡2通(1898年7月19日付と1901年6月29日付)です。
現在、ワルラスの重要書簡の大部分は、ワルラス研究者ウィリアム・ジャッフェが1965年に公刊した書簡集(全3巻)に収められていますが、今回展示する2通の書簡は、この書簡集には収められていないものです。1898年7月19日付の書簡についての詳細な解説は、『彦根論叢』第434号(2023年1月・冬号)に「資料紹介」として、掲載される予定です。
展示の様子と私の解説文はこちらをご覧ください。展示コーナーには、この書簡のテキストと和訳も展示してあります。
(追記)
1.2022年12月10日に 経済学史学会第182回関西部会(オンライン開催 中京大学)で、この書簡について報告をしました。参加者の皆さんから貴重なコメント、質問をいただきました。ありがとうございました。
2.2023年1月に『彦根論叢』に掲載されました。(資料紹介)「滋賀大学図書館所蔵 レオン・ワルラスの書簡(1898年7月19日付)」『彦根論叢』第434号(2023年冬)62-67.
2022年7月7日から9日まで、パリで開催された、シャルル・ジッド学会 第19回国際大会で、論文を発表しました。学会は、パンテオン広場にある、パリ第Ⅰ大学の由緒ある校舎で開催されました。
(プログラムはこちらです)
3年ぶりのフランスでの学会報告でした。大会のテーマである、“Bonheurs et malheurs de l’agent économique” (経済主体の幸福と不幸)にちなんで、私は、ワルラスの共感概念について、報告をしました。論文では、ワルラスとアダム・スミスの共感概念の比較をしているので、スミスのセッションで報告することになり、スミス研究者から、貴重なコメントをもらうことができました。
フランスに到着してまずびっくりしたのは、マスクを着けている人がほとんどいなくて、コロナ以前の生活にほぼ戻っているということでした。さらに学校の夏休み期間に入っているので、空港や観光地は、欧米からの家族連れの観光客であふれかえっており、これまで見たことのないような混雑ぶりでした。
ただしコロナの感染者数は、フランスでも急増しており、学会直前に感染して、参加をキャンセルした人もいました。学会では、急遽、校舎内でのマスクの着用が推奨され、コーヒー・ブレイクやランチは、予定を変更して、屋内ではなく、中庭で提供されました。パリの気温は高かったですが、日本とは違って乾燥しているので、屋外での食事は、とても心地よかったです。
ウクライナでの戦争の影響による航路迂回により、日本とヨーロッパ間のフライト時間は普段より長く、また現地で帰国のための検疫書類の準備もしなくてはならず、いつもより疲れる出張でしたが、多くの研究者たちと再会の喜びを分かち合い、充実した時間を過ごすことができました。
2021年12月3日から5日まで日本ベンチャー学会(JASVE)第24回全国大会 が開催されました。私は5日の午後「シュンペーターとイノベーション:その歴史的・思想的背景」という講演をしました。この大会はハイブリッド方式で開催され、私は主催校である大阪経済大学から参加しました。対面形式で学会に参加したのは実に2年ぶりです。
経営学の学会に招かれたのは、これが初めてです。私の報告の意図は、シュンペーターの企業者概念を、彼が最も影響を受けたワルラスやその源流にあるセーやカンティロンなど、フランスにおける企業者概念の歴史から再考し、経営学におけるシュンペーターとカーズナーとの対比についても新たな理解方法を示すことでした。
対話者の伊藤 博之氏(大阪経済大学教授)をはじめとして、参加者の皆さんから大変刺激的な質問とコメントをいただきました。私のこれまでの研究が、当初は予想していなかった分野で多くの方々の研究に役立つことがわかり、とてもうれしかったですし、ここで得た知見をもとに、私自身の研究もさらに発展しそうです。今後もこのような新しい挑戦を続けていきたいと思います。