Review of My book in EJHET 新しい書評が出ました

私の著書 Kayoko Misaki, Léon Walras’s Economic Thought: The General Equilibrium Theory in Historical Perspective, Routledge, 2024 についての書評が、The European Journal of the History of Economic Thought(EJHET)の最新号に掲載されました。国際的に評価の高い経済学史ジャーナルに掲載されたことを、大変光栄に思います。今回の書評が、ワルラス研究や一般均衡理論の歴史的背景に関心を持つ多くの読者の目に本書が届くきっかけとなればうれしいです。

A new review of my book, Kayoko Misaki, Léon Walras’s Economic Thought: The General Equilibrium Theory in Historical Perspective, Routledge, 2024,has just been published in the latest issue of The European Journal of the History of Economic Thought (EJHET). I am honored that this internationally renowned journal has featured my work. I hope that this review will encourage more readers who are interested in Walrasian studies and the historical background of general equilibrium theory to engage with the book.

Martinon, Nathan. 2026.
Léon Walras’s Economic Thought: The General Equilibrium Theory in Historical Perspective: By Kayoko Misaki, Routledge, Abingdon, 2023, 142 Pp., £42 (Paperback), ISBN 9781032434414.
The European Journal of the History of Economic Thought 33 (1): 182–185.

https://doi.org/10.1080/09672567.2026.2611715

Revue d’histoire de la pensée économique 掲載「ワルラスの共感概念」

 2023年6月7日に私の論文 “Walras on Sympathy”が、フランスのジャーナル Revue d’histoire de la pensée économique に掲載されました。

MISAKI,Kayoko “Walras on Sympathy,” Revue d’histoire de la pensée économique, n° 15, 2023 – 1, 15-32.

この論文は、昨年7月にパリで開催されたシャルル・ジッド経済思想史学会で報告した論文を発展させたものです。学会報告の後、このジャーナルから誘いを受けて投稿し、通常の査読過程を経て、掲載が決定しました。この論文は、これまでほとんど注目されなかったワルラスの「共感」概念をとりあげ、アダム・スミスの概念と比較しています。 新古典派経済学の創始者の一人とされるワルラスは、人間の非利己的側面をどのようにとらえていたのか。実は、ワルラスは、一般均衡理論の構築にとりかかる前から「共感」概念を論じはじめ、同理論が完成した後も、ぶれることなく同じ議論を続けていました。この論文は、共感や人間性に関するワルラスの議論が、道徳の分野にとどまらず、分業などの概念を通じて彼の経済観そのものに関係していることを示しています。

 

Revue d’histoire de la pensée économique は、経済学史を専門とするフランスの学術雑誌です。創刊は2016年ですが、その前身は、2015年9月に休刊した学術雑誌Économies et Sociétés (cahiers de l’ISMEA)の「経済学史」部門です。Économies et Sociétésは、1944年に、経済学者フランソワ・ペルー(François Perroux, 1903-1987) が創刊した由緒ある雑誌で、私も大学院生時代、ここに掲載された多くの質の高い論文に取り組みました。まさか自分の論文がこの流れをくむジャーナルに掲載されるとは思ってもみませんでした。大変光栄なことだと感じています。

『組織科学』招待論文「ワルラスからシュンペーターへ―アントレプレナーシップの歴史的・思想的背景―」

 2022年12月20日に公刊された『組織科学』第56巻2号に私の論文が掲載されました。特集号「拡張するアントレプレナーシップ研究~源流とフロンティア~」への招待論文です。

御崎加代子「ワルラスからシュンペーターへ―アントレプレナーシップの歴史的・思想的背景―」『組織科学』第56巻2号(2022年12月)pp.4-14.

 この論文の目的は、イノベーション論の元祖とされるシュンペーターの企業者概念の特徴と意義を、彼が最も影響を受けた経済学者ワルラス、さらにはその源流に位置するJ.Bセーやカンティロンなど、フランスにおける企業者概念の歴史から考察し、現代のアントレプレナーシップ論の歴史的・思想的背景を明らかにすることであり、経営学においてシュンペーターとよく比較されるカーズナーの企業家論についても、ワルラス批判という観点から考察しています。内容は、2021年12月の日本ベンチャー学会での講演を発展させたもの(記事はこちら)です。

私がこれまで取り組んできたフランス経済学史とアントレプレナーシップをとりまく思想史の研究成果が、経営学のトップジャーナルに掲載され、たいへんうれしく思うとともに、本テーマの学際的な広がりと発展可能性に大いに刺激を受けました。研究をさらに深めてゆきたいと考えています。

Most read articles

 The European Journal of the History of Economic Thoughtの2021年6月号 Volume 28, Issue 3がこのたび公刊されました。ワルラスとスミス『国富論』の関係を論じた私の論文がこの号に掲載されています。

Kayoko MISAKI “Léon Walras and The Wealth of Nations: What Did He Really Learn from Adam Smith?,” The European Journal of the History of Economic Thought 28-3, 2021, 404 – 418 (published on line, October 2020): https://doi.org/10.1080/09672567.2020.1837198.

この論文はすでに昨年の10月にオンライン上で公刊されており、このサイトでも論文の内容とともにお知らせしました(記事はこちら)。現在、この論文は、このジャーナルの Most read articles (最も読まれている論文)の10番目にランクインしています。経済学史のトップジャーナルのひとつに論文が掲載されたこともうれしいですが、経済学史の分野を超えて多くの皆さんに論文が読まれていることも大変うれしいです。今後はこの論文が末永く、多くの研究者に引用されることを願っています。

(追記)

2022年12月26日
本論文へのアクセス数が5,000に達しました。多くの方々に読んでいただきありがとうございます。

EJHET 掲載論文 ワルラスは『国富論』をどう読んだのか?

 The European Journal of the History of Economic Thought 誌にアクセプトされた、ワルラスとアダム・スミスとの関係を探った私の論文が、紙媒体に先駆けて、2020年10月27日付でオンラインで公刊されました。この論文は、オープンアクセスなので、以下のリンクから、全文の参照およびダウンロードが可能です。

Kayoko Misaki, “Léon Walras and The Wealth of Nations: What Did He Really Learn from Adam Smith?,” The European Journal of the History of Economic Thought (Published on line, October 2020): 1–15, https://doi.org/10.1080/09672567.2020.1837198.

この論文は、ローザンヌ大学ワルラス文庫の調査を手掛かりに、ワルラスとアダム・スミスとの知られざる影響関係を明らかにする考察です。ワルラスの一般均衡理論は、スミスの「見えざる手」を理論的に発展させたものというのが、経済学の教科書に書かれている、一般的な解釈ですが、そのような「常識」に真っ向から挑んだのが、この論文です。この解釈については実は、アダム・スミス研究者による多くの反論がありますが、ワルラス研究者からはこれまでまったく反論がなされていなかったのです。また逆にワルラスはスミスから影響を受けていないという、シュンペーターやジャッフェの解釈を覆すことも、この論文は意図しています。ジャーナルの査読の過程で、当初は想定していなかった、ワルラスとスミス『道徳感情論』との関係にまで考察を拡げることになり、論文の内容が大きく発展しました。アドバイスしてくれたレフェリーに感謝しています。

この論文が、オープンアクセスにより、経済学史研究の枠を超えて、様々な分野の経済学者に読まれ、実りある議論につながってゆくことを期待しています。