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資料紹介 Guizot’s letter (1833)

滋賀大学附属図書館が所蔵するフランソワ・ギゾーの書簡(1833年8月13日付)の紹介論文がこのたび公刊されました。

(資料紹介)御崎 加代子「滋賀大学図書館所蔵 François Guizot の自筆書簡(1833)について」『滋賀大学経済学部研究年報』25. 2018, pp.123-126.

この書簡を現在、図書館の貴重書コーナーに展示していることについては、すでにこのサイトでもお知らせしました。(記事はこちらです

 

本資料をみつけたのは全くの偶然でした。最初は誰が書いた手紙なのかもわかりませんでしたが、一目見た途端、美しく力強い筆跡に、心を奪われてしまいました。これまでいろいろな経済学者たちの筆跡に触れる機会がありましたが、偉大な歴史上の人物の筆跡にはやはり、ただならぬ雰囲気が漂っています。

紹介論文には、書簡の画像も掲載しました。この気品に満ちた迫力ある筆跡をぜひご鑑賞ください。(電子ジャーナルはこちらです

ESHET 2018 Madrid大会での報告を終えて

2018年6月7日から9日までスペインのマドリッドで開催された、European Society for the History of Economic Thought(ESHET) の第22回年次大会での論文報告を終えて帰国しました。

会場となったマドリッド・コンプルテンセ大学は15世紀に設立された由緒ある大学で、18世紀にはいち早く女性に博士号を与えたことでも知られています。今回の学会は、郊外にあるSomosaguasキャンパスで開催されました。マドリッド中心部からは地下鉄やトラムを使って移動する必要があり、少し不便でした。

 

私は二日目のセッションで、‟Léon Walras on the Worker-Entrepreneur”(詳しい内容はこちら)という論文を発表しました。聴衆はそれほど多くありませんでしたが、制限時間内にすべて返答できないほど、多くのコメントと質問がありました。予想していた通り、この論文は、J.B.セーの専門家にとってたいへん興味深かったようです。今後の共同研究につながりそうな予感です。

 

学会のディナー・パーティは、服飾博物館内にある有名レストラン Café de Orienteで開催されました。スペインの夕食は一般的に遅いのですが、このディナーも9時に始まりました。6月は日が長いので夜9時でもまだまだ明るかったです。1時間ほどは戸外でアペリティフを楽しみ、コース料理が始まったのは10時頃、デザートを終えると12時を過ぎていました。この夜はたいへん寒かったうえ、慣れない深夜の食事で胃腸が悲鳴をあげそうでした。

学会開催中、多くの研究者たちと再会し、また新たに知り合った研究者たちと研究情報を交換することができました。新たなプロジェクトへの誘いも受け、私の研究活動にとってはたいへん有意義な機会となりました。

ただ今回の出張は、帰国便が航空会社の突然のストでキャンセルになるなど、様々なハプニングに見舞われ、正直言って疲れ果ててしまいました。日本に帰って来れてほっとしています。

ESHET 2018 Madrid大会で報告します

2018年6月7日から9日までスペインのマドリッド・コンプルテンセ大学で、European Society for the History of Economic Thought(ESHET) の第22回年次大会が開かれます(大会HPはこちら)。今回の共通テーマはEntrepreneurship, knowledge and employmentです。

私はこの大会で、”Léon Walras on the Worker-Entrepreneur” という論文を報告することになりました(報告論文サイトはこちら)。ワルラス一般均衡理論における企業者利潤ゼロの仮定は、ワルラス・モデルの非現実性を象徴するものとして知られていますが、そこにこめらた現実的な意図はほとんど知られていません。この論文では、ワルラスが一般均衡理論を完成する前にとりくんだアソシアシオン(協同組合)運動の構想や、晩年の未発表メモなどを手掛かりに、企業者機能を兼ねる労働者について、ワルラスがどのような議論を展開しているか、考察します。これは、マルクスなどの同時代の社会主義者たちの利潤論に対するワルラスの批判や、ワルラスの企業者論に大きな影響を与えたとされるJ.B.セーとワルラスの議論の本質的な違いを理解するための重要な鍵になると考えています。

さて6月のヨーロッパは、日が長く、過ごしやすい天気で、花も満開です。このような美しい季節にマドリッドを訪れるのはとても楽しみです。

資料紹介 Léon SayからAlfred de Fovilleへの書簡(1883)

『彦根論叢』(滋賀大学経済学会)の最新号(2017年夏号 412号)に、私の資料紹介論文「滋賀大学図書館蔵 Léon Sayから Alfred de Foville への書簡(1883)」が掲載されました。(オンラインジャーナルはこちら

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著者 Léon Say から de Foville に献呈された『フランスの財政』(1883)

Léon Say (1826-1896)は、フランスの有名な自由主義経済学者で、フランスの財務大臣を3回務めました。明治時代初頭、日本銀行の設立にも大いに影響を与えた人物として知られています。

Léon Say 著の『フランスの財政』(1883)を数年前に科研費で購入したところ、その本には Léon Sayの自筆書簡が添えられていました。しかしそれが誰宛てなのかがどうしても解読できませんでした。今年の1月に、リヨン第2大学のJean-Pierre Potier教授に会ったときにこの書簡のことを相談したところ、著名な統計学者 de Foville宛のものだということがわかったのです。そしてその書簡の内容から、この本は Léon Sayから de Fovilleに献呈したものであることが明らかになりました。つまりこの本は、de Foville の蔵書だったのです。このことをツイッターで発信したところ、de Fovilleの子孫であるパリ在住の若者からメッセージが届くという、興味深いハプニングもありました。

ESHET 2017 アントワープ大会での報告を終えて

2017年5月18日から20日までアントワープで開催された、ESHET (European Society for the History of Economic Thought ) の年次大会での報告を終えて帰国しました。

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ヨーロッパで一番美しい駅として知られるアントワープ中央駅

 学会が開催されたアントワープ大学は、由緒ある歴史的建築の校舎に囲まれた大変美しいキャンパスでした。残念ながら、大会開催中はずっと小雨が続きました。

私は、ワルラスがスミスの『国富論』をどう読んだかという問題を扱った論文 “Léon Walras on The Wealth of Nations— What did he learn from Adam Smith?” を発表しました。討論者のJ.P.Potier教授や、セッションに参加した皆さんから貴重なコメントをいただきました。

また David Andrews教授の“Laissez faire and the rationality of nature: A critique of Michel Foucault’s interpretation of Adam Smith”という論文の討論者も務めました。大きな学会では、必ずしも自分の専門テーマではない論文の討論者に振られることもあり大変ですが、勉強になることも確かです。(学会プログラムはこちらです)

学会最終日のパーティは、アントワープ市庁舎で行われました。市庁舎の外観や広場の眺めも素晴らしいですが、内部の絢爛豪華な装飾は息をのむほどの美しさでした。特に市庁舎の大きな窓から眺めるアントワープの聖母大聖堂は圧巻でした。アントワープ市民は普通、この部屋で結婚の手続きをする際にのみこの光景を見ることができるという説明をうけました。

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3日間の学会で、ヨーロッパの多くの研究者たちと再会し、また新しく知り合った研究者たちとも有益な議論ができました。これをきっかけに、また新たな国際共同研究プロジェクトが始まることを期待しています。

ESHET 2017 アントワープ大会で報告します

2017年5月18日から20日まで、ベルギーのアントワープで、ESHET (European Society for the History of Economic Thought ) の第21回年次大会が開催されます。(プログラムはこちら

この学会で、ワルラスが『国富論』をどう読んだかというテーマで研究発表をすることになりました (Léon Walras on The Wealth of Nations— What did he learn from Adam Smith?) 。この論文は、ローザンヌ大学ワルラス文庫の調査の成果の第一弾にあたり、スミスの「見えざる手」とワルラスの一般均衡理論を結び付ける教科書的解釈にも一石を投じることを意図しています。

 

 

なおこの学会での報告内容を、専門家ではない方々でも理解できるように要約して、6月15日に滋賀大学リスク研究センターのEnglish Lunch Seminar で発表する予定です。学内の方々の参加をお待ちしています。

ローザンヌ大学・国際労働機関 ILO 共催のワークショップで論文発表

2016年9月29-30日にローザンヌ大学で開催されたワークショップ-The Wage Workshop, Theoretical, Empirical and Historical Perspective on Wage, Subsistence and Basic Incomeで、ワルラスの労働市場観に関する論文を発表しました。

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ワークショップが開かれたローザンヌ大学 Château de Dorigny

このワークショップの主なテーマは「最低賃金」でした。経済学史研究者だけでなく、理論経済学者、労働経済学者、ILOに所属するエコノミストたちが参加しており、それぞれの観点から、興味深い報告をしました。参加者の大部分とは初対面で、異なる専門分野の研究者たちと有意義な交流ができました。

報告した論文のタイトルは、「レオン・ワルラスの純粋・社会・応用経済学における労働市場の概念」Léon Walras’ Concept of Labor Market in his Pure, Social, and Applied Economicsです。この論文は某ジャーナルに掲載される予定です。