Exhibition

ギャラリートーク開催しました

 2022年5月19日、滋賀大学附属図書館において、春学期の貴重書展示についてのギャラリートーク「スミス『国富論』とJ.B.セー『経済学概論』」(第1回)を開催しました。当日の様子が、図書館ホームページに紹介されています。(ページはこちら

 学生の方、教員の方に参加していただき、興味深い質問をたくさんしていただき、楽しく刺激的な時間を皆さんと過ごすことができました。2回目は6月16日に開催します。参加申し込みはこちらです(学内の方限定です)。

(追記)6月16日 第2回目のギャラリートークを開催しました。当日の様子は、こちらでご覧いただけます。

(写真は図書館HPより拝借しました)

ギャラリートークのお知らせ

  滋賀大学附属図書館貴重書展示コーナーでは、2022年春の展示として、アダム・スミスの『国富論』とJ.B.セーの『経済学概論』を展示しています。この展示について、5月と6月にギャラリートークを行うことになりました。コロナウィルスの感染状況を踏まえ、今回は学内の方(教職員と学生)のみを対象とさせていただきます。

 詳細についてはこちらをご覧ください。皆様の参加をお待ちしています。

貴重書展示 スミス『国富論』とセー『経済学概論』

 滋賀大学附属図書館の貴重書展示コーナーの展示替えを行いました。2022年春の展示は、アダム・スミスの『国富論』(1791年バーゼル版)とJ.B.セー『経済学概論』(1832年アメリカ版英訳第5版)です。新入生の皆さん、ぜひご覧ください。

 今回展示する『国富論』は非常に保存状態が良く、美しい本です。有名な「見えざる手 (invisble hand)」が登場するページが開いてありますので、探してみてください。またJ.Bセーは、ケインズが批判した「セー法則(Say’s law)」で有名ですが、シュンペーターよりも100年以上前に企業家論を展開していた経済学者としても注目されています。

 以下が私の説明文の抜粋です。

 1776年、アダム・スミス(Adam Smith, 1723⁻1790)の主著『国富論』(原題「諸国民の富の原因と性質に関する研究」)の初版が、ロンドンで出版された。『国富論』は、現在でも経済学の古典として不動の地位を占めている。今回展示するのは、1791年にスイスのバーゼルで出版されたものであるが、これは、本国イギリス以外で初めて出版された英語版である。『国富論』は、世界各国の経済学や経済政策、近代化の思想に大きな影響を与えたが、それが本格的に各国で普及するのは19世紀になってからである。その際、『国富論』の解説書として、普及したのがフランスの経済学者J.B.セー(Jean Baptiste Say, 1767-1832)の『経済学概論』(初版1803年)であった。セーの著作は、スミスの『国富論』よりも説明がわかりやすく、スミスよりも企業者の役割を重視していた点で、特にアメリカで人気を博した。セーの考える企業者の役割には、知識の応用、資本の調達、指揮、監督、管理、危険負担、技術革新などが含まれ、生産性の上昇の要因として、スミスが分業のみを議論していたのとは対照的である。セーの考え方は、現在も企業家論、イノベーション論の源流として注目を浴びている。本図書館は、セーの『経済学概論』のアメリカ版英訳第5版(1832年)を所蔵している。

展示の様子はこちらです。次回の展示替えは、9月を予定しています。

貴重書展示 ジェヴォンズ・ワルラス・マーシャル・パレート

滋賀大学附属図書館の貴重書コーナーの展示替えを行いました。2021年秋の展示は、「現代経済学の誕生」というテーマで、ジェヴォンズ、ワルラス、マーシャル、パレートの著作を展示しています。

 滋賀大生の皆さんは「現代経済学基礎」等の授業で、彼らが生み出した経済学の概念について、学んでいます。また秋学期に私が開講する「現代経済学史Ⅰ」の授業でも、これらの経済学者たちが登場します。履修をする人は、ぜひ貴重書コーナーに足を運んでみてください。

私の解説文の抜粋はこちらです。

1871年、イギリスのジェヴォンズ(William Stanley Jevons, 1835-1882)が、『経済学の理論』の初版を出版し、限界効用理論を世に知らしめ、古典派の時代にピリオドをうった。スイスのフランス人ワルラス(Léon Walras, 1834-1910)は、限界効用理論の発表については、ジェヴォンズに先を越されたが、そこからさらに進んで一般均衡理論を完成させ、主著『純粋経済学要論』 (初版1874‐77年)を公刊した。この著書は、ワルラスの存命中、第4版(1900年)まで版を重ね、各国に普及していった。ワルラスの一般均衡理論は、すべての経済主体、すべての市場における均衡とその相互依存関係を連立方程式で表現したものであるが、これによって、現代経済理論の基礎が築かれた。 イギリスのマーシャル(Alfred Marshall, 1842⁻1924)の主著『経済学原理』(初版1890年)は、1920年の第8版まで版を重ね、彼が教授を務めたケンブリッジ大学は、世界の経済学の中心となった。マーシャルは、「消費者余剰」、「外部経済」など、現代経済学の重要な基礎概念を確立し、マーシャルの分析方法は、ワルラスの一般均衡分析に対し、部分均衡分析と呼ばれる。 一方、ローザンヌでのワルラスの後継者パレート(Vilfredo Pareto,1848-1923)は、ワルラス一般均衡理論から出発しつつ、「パレート最適」という厚生経済学の重要定理を確立した(主著『経済学提要』、初版1906年)。

図書館の展示の様子はこちらです。

次回の展示替えは、2022年3月を予定しています。

貴重書展示 トマス・モア『ユートピア』

 滋賀大学附属図書館の貴重書展示コーナーの展示替えを行いました。

2021年春の展示は、トマス・モア『ユートピア』(仏語版 1715)です。この著作のタイトルは、新入生の皆さんにもおなじみでしょう。美しい挿絵のコピーも一緒に展示していますので、ぜひ楽しんでください。

展示の様子はこちらです。

私の解説文の抜粋は以下の通りです。

トマス・モア(Thomas More, 1478-1535)は、法律家の子としてロンドンに生まれ、オクスフォード大学で学んだ。オランダのエラスムスから影響を受け、人文主義者の一人として才能を発揮すると同時に、政治家としても活躍した。当時の国王ヘンリ8世の信任を得て、1529年には、大法官の地位にまで上り詰めた。しかしながら、モアは、カトリックの立場から、国王の離婚を認めなかったため、ロンドン塔に投獄され、1535年、反逆罪で処刑された。モアは、1516年に『ユートピア』というタイトルの著作を、ラテン語で出版した。モアは、この著作において、当時のイギリスの「囲い込み」政策がもたらした、社会の悲惨な状況を批判すると同時に、理想的な社会である「ユートピア」(「どこにもない場所」という意味)を描写した。「ユートピア」という言葉は、やがて「理想郷」の代名詞となり、モアの著作は、ユートピア思想の源流として、現代にいたるまで大きな影響力を及ぼしている。1715年に出版された、仏語版『ユートピア』のタイトルは「英国の大法官、トマス・モアのユートピア:人々の不幸を癒し、人々に完全な幸福をもたらすための斬新なアイデア」となっている。仏語版には、物語の内容を伝える、美しい挿絵が掲載されている。 ユートピア島では、当時の社会とは違い、犯罪者は処刑せず、奴隷にして労働に従事させることになっていた。一般的な人々の労働時間は一日6時間で、学問や文化的活動、娯楽にあてる時間があった。大きく快適な病院が建設され、病気になっても安心して治療を受けることができた。病人以外の人々も、昼食と夕食は会館で配給され、共同で食事をしていた。その他、男女の労働の違い、結婚と離婚についてのしきたり、宗教や死生観など、理想社会における人々の生活が詳細に叙述されている。

次回の展示替えは、10月を予定しています。

「はるかなる手紙展」第3期ギゾーの書簡 展示始まりました

 滋賀大学彦根キャンパスで開催中の「はるかなる手紙展」は、2021年2月1 日より第3期「フランソワ・ギゾー」が始まりました。ギゾーが公教育大臣として執筆した、1833年の書簡を公開しています。コロナ禍の中、お越しになることが難しい方は、ウエッブでパンフレットを公開していますので、そちらをご覧ください。

本展示は昨年の1月から始まっていますが、コロナのために、ギャラリートークは3月を最後に中止になりました。以下の写真は、昨年1月から3月のギャラリートークの様子です。 

 早くコロナが収まって、またギャラリートークが再開できるようになることを祈っています。

「はるかなる手紙」展 再開のお知らせ

コロナウィルス感染予防のために、2020年4月末から中断していた「はるかなる手紙ー滋賀大学所蔵フランスの貴重自筆書簡」展(御崎加代子監修)が再開することになりました。(ウエッブサイトはこちらです)第2期の展示は、経済学者レオン・セー(Léon Say, 1826 -1896)の1883年付の書簡と関連資料です。10月1日から来年の1月29日まで、展示します。当分の間、ギャラリートークは行いませんが、興味のある方は是非ご覧になってください。

 レオン・セーはフランスの財務大臣を3度つとめ、日本銀行の設立にも大きな影響力を及ぼした人物です。セーが活躍したのは、エッフェル塔など、現在の花の都パリの街並みが出来上がってゆく時代で、印象派の画家たちが活躍した時代でもあります。パリのオペラ座は、このころ流行した「ナポレオン3世様式」と呼ばれる典型的な建築例だとされていますが、今回は、私が以前、リヨンのアンティークショップで購入した「ナポレオン3世様式」のアンティーク銀食器も展示します! 

 

「はるかなる手紙」展(第一期 コルソン)解説パンフレット

滋賀大学彦根キャンパスで、2020年1月に始まった企画展「はるかなる手紙―滋賀大学所蔵フランス貴重自筆書簡」(御崎加代子監修)は、コロナの影響で、4月末より休止しています。完了した第1期(2020年1月~4月)の「クレマン・コルソン」の展示については、会場で配布していた解説パンフレットがウエッブで閲覧できます(リンクはこちらです)。興味のある方は、ぜひご覧ください。

第2期「レオン・セー」の展示の準備は整っていますが、いつから開始するかは未定です。コロナが一日も早く収束し、展示とギャラリートークが再開できる日を心待ちにしています。

(「はるかなる手紙展」開催案内ウエッブページのリンクはこちらです

貴重書展示 バスティアの自由放任主義

 滋賀大学附属図書館の貴重書展示コーナーの展示替えを行いました。2020年春の展示でとりあげるのは、19世紀の前半フランスで活躍した経済学者バスティア(Claude-Frédéric Bastiat, 1801–1850)です。

バスティアは、楽観的な社会的調和論と徹底的な自由貿易の主張により、現代では新自由主義の元祖のひとりとみなされています。アダム・スミスの経済学に影響をうけ、それをフランスに広めた経済学者としても有名です。しかしながらこのような極端な自由放任主義は、アダム・スミスの考え方とは、異なることにも注意をする必要があります。

  貴重書コーナーでは、本学図書館が所蔵する『バスティア全集』(全7巻、1854-1864)と、ルシェ訳『国富論』フランス語版初版(全4巻、1790)を展示します。

 『国富論』は、2011年、2015年、2017年にも展示しましたが、『バスティア全集』は今回が初めての展示です。本学で毎年春学期に開講している「経済学史」は、アダム・スミスの経済学から始めます。この講義を受講する人・受講した人は、ぜひこの展示に足を運んでみてください。

 展示の様子はこちらです。以下が、私の解説文の抜粋です。

 フランスの経済学者バスティア(Claude-Frédéric Bastiat, 1801–1850)は、極端な自由主義と自由貿易を主張したことで知られ、20世紀以降、新自由主義の元祖として言及されるようになった。またバスティアの著作は、明治維新後の日本において、いち早く翻訳され講義された経済学説としても重要である。
 バスティアは、1801年にフランスのバイヨンヌで生まれた。イギリスの穀物法論争に関心をもち、自由貿易運動に共鳴したバスティアは、1846年にボルドーとパリで自由貿易協会を設立し、1848年の2月革命時には、社会主義を批判した。1849年には、立法議会と憲法制定議会の議員に選出されたが、1850年、志半ばで死去した。
 バスティアは、自由放任こそが神の摂理として社会的調和をもたらすと考え、国家の役割に極めて批判的であり、保護主義を痛烈に批判した。主著は『経済的調和論(Harmonies Economiques)』(1850)である。バスティアは、アダム・スミスに影響を受け、その経済学をフランスに広めた一人でもあるが、その極端な自由放任主義は、スミスの考え方とはかなり異なっていることに注意しなければならない。

「はるかなる手紙」展 関連行事ご報告

 滋賀大学彦根キャンパスで開催中の「はるかなる手紙-滋賀大学所蔵フランスの貴重自筆書簡」展の第一期「クレマン・コルソン」の関連行事として、3月2-3日に、東京女子大学の栗田啓子教授を迎えて、講演会とスペシャルギャラリートークを行いました。参加してくださった皆さん、ありがとうございました。参加できなかった皆さん、大学のHPに当日の様子がアップされましたので、こちらをご覧ください。

2020年3月2日 経済学部講演会「第2世代のエンジニア・エコノミスト-クレマン・コルソンとエミール・シェイソン」 栗田啓子(東京女子大学副学長・教授)

2020年3月3日 ひなまつりスペシャルギャラリートーク(栗田啓子&御崎加代子)