滋賀大学附属図書館の貴重書コーナーの展示替えを行いました。2018年秋の展示は、フランソワ・ギゾーの自筆書簡(1833)です。(展示の様子はこちら)


以下、私の解説文の抜粋です。
ギゾー(François Pierre Guillaume Guizot,1787-1874)は、19世紀前半に活躍したフランスの歴史家、政治家である。今回展示するのは、本学図書館が所蔵する、1833年8月13日付のギゾーの自筆書簡である。この書簡は、2018年2月に購入した古書、ギゾーの代表作『ヨーロッパ文明史:ローマ帝国の崩壊からフランス革命まで』の英訳版(1839)に偶然貼り付けられていた。ギゾーはフランスの七月王政期、1832年から1837年まで公共教育大臣として、数々の教育改革に携わった。この書簡が書かれた約二か月前、1833年6月23日には、有名な初等教育法案「ギゾー法」が成立している。この書簡にも公共教育省の便せんが使われ、肩書も「公共教育大臣」となっている。書簡の相手は、当時ヘブライ語学の第一人者であったエティエンヌ・カトルメール(Etienne Quatremère)で、その内容は、ヘブライ語の文法教育をめぐるものであり、極めて礼儀正しい文体で書かれている。
なおこの書簡の内容と日本語訳は、『滋賀大学経済学部研究年報』第25巻(2018年11月末刊行予定)に「資料紹介」として掲載される予定です。公刊されたら、このサイトでもお知らせします。
今回は、この書簡が書かれた1830年代に出版された、ノディエ著『歴史的パリ』(Paris historique : promenade dans les rues de Paris, par Charles Nodier, Auguste Regnier et Champin ; avec un rèsumè de l’histoire de Paris, par P.Christian [pseud.]
Paris:F.G.Levrault, 1838-1839)も同時に展示しています。パリの歴史を美しい挿絵入りで解説した本で、当時の街の雰囲気が味わえます。


貴重書展示コーナーの次回の展示替えは、2019年3月を予定しています。